『風景への目覚め』VII章 環境に関連した動物の変態(内容紹介)

『風景への目覚め』第7章紹介

蝶と両生類のメタモルフォーゼ(変態)を通じて、生命の神秘を探る研究です。毛虫が蝶に変身する過程では、透明化と色の変化が繰り返され、蛹の中で完全な再構築が行われます。両生類では各種が異なる環境戦略を持ち、発達段階が植物の成長サイクルと同調することも。動物と環境は一体となって全体を形成し、生命とは固定された「もの」ではなく変化し続ける「過程」であることが明らかになります。自然観察の新たな視点を提供する興味深い考察です。

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『風景への目覚め』VI章 生命の神秘へと導く変容の段階(内容紹介)

『風景への目覚め』第6章紹介

ゲーテ的風景研究の第六章では、外界の変容プロセスに私たち自身の思考を呼応させる革新的な認識方法を提案しています。プロテウス神話を引用し、変化し続ける自然の本質を「掴み続ける」重要性を説きます。鉱物から植物、動物への段階的観察を通じて、空間的思考から流動的思考へ、そして思考自体が知覚の器官となる高次の認識能力の開発を目指します。記憶からの描画や知覚の「昼と夜の側面」を統合することで、科学と芸術を融合した新しい自然理解の道が示されています。

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『風景への目覚め』V章 芸術的実践(内容紹介)

『風景への目覚め』第5章紹介

ゲーテ的風景研究の第五章では、芸術を通じて自然をより深く理解する方法を探求しています。色彩は固定されたものではなく環境によって変化する現象であること、記憶から絵を描くことで対象の本質が見えてくること、そして科学と芸術を統合した新しい認識方法が紹介されています。植物観察では「原型」という概念を内的に体験し、農業や医学も芸術的実践として捉えます。真の認識は道徳的責任を伴い、私たち自身を変化させる力を持つという深い洞察が示されています。

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『風景への目覚め』IV章 科学的方法の拡張(内容紹介)

『風景への目覚め』第4章紹介

ゲーテ的風景研究の第四章では、従来の数値分析だけでは捉えられない自然の「質」を直接体験する方法を探求しています。同じ森を数学的手法とゲーテ的観察法で調べると、全く異なる理解が得られました。特に二つの池の比較では、同じ水でも「保存する質」と「活性化する質」という異なる働きがあることを発見。一つの植物を観察すれば、その場所全体の環境の性質がわかるという驚きの結果も。数字と感覚を統合した新しい科学の可能性を示唆する研究です。

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『風景への目覚め』III章 風景を知ること(内容紹介)

『風景への目覚め』第3章内容紹介

ゲーテ的な風景研究の第三章をご紹介します。スイスの小さな谷や湿地帯での観察を通じて、同じ種類の樹木でも環境によって全く違う姿に育つことを発見しました。視覚だけでなく鳥の声にも耳を傾け、風景の生命のリズムを感じ取ります。場所にはそれぞれ固有の「気分」や「個性」があり、長期間の観察を続けることで「場所の精霊」とも呼べる本質が見えてきます。人間と自然が協力して新しい環境を創り出す可能性も示されています。

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『風景への目覚め』II章 人間意識の進化を反映する風景(内容紹介)

『風景への目覚め』第2章紹介

ヨヘン・ボッケミュール氏の『風景への目覚め』第二章は、人類の意識進化と風景の変遷を対応させた壮大な論考です。古代の自然との一体性から中世の内外分離、近世の世界発見、近代の技術信仰、そして現代の完全な疎外まで、各時代の風景が人間意識の状態を映し出していることを示しています。特にリルケのヴァレーでの体験は、分離を経験した現代人だからこそ可能な「参与的認識」の例として重要です。古代ローマの「Genius Loci(場所の個性)」概念の現代的復活も提唱され、技術的解決を超えた意識変革による自然との新しい関係構築の可能性を探っています。

2025年前期定期講座日程

2025年前期の定期講座日程は 以下のとおりです. 01/15 だれでもわかる星空の基本 02/05 透視図法で正確な立方体を描こう 02/19 カメラオブスキュラの制作 03/05 ピンホールカメラやレンズでなぜ像がう … 続きを読む

後期観察会のご案内

IMG:http://i-spiral.net/wp-content/uploads/2024/10/Obsidian-Adventure.png 2024年定期講座 後期の自然観察会のご案内です. テーマ:黒曜石を採り … 続きを読む

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シュタイナーの『ニーチェ』と『自由の哲学』

シュタイナーの『ニーチェ』(1895)は、キリスト教的理想主義への挑戦者としてのニーチェを論じ、「超人」概念を自己実現と道徳的創造の体現として解釈しています。一方、『自由の哲学』(1894)は思考を通じた世界認識と道徳的直観に基づく真の自由を探求しています。両著作は近代思想への批判という共通基盤を持ちながら、『ニーチェ』がニーチェ思想の批判的分析であるのに対し、『自由の哲学』は独自の認識論・倫理学体系の構築を目指しています。シュタイナーはニーチェの「力への意志」を思考による自己実現として再解釈し、後のアントロポゾフィー発展への重要な基礎を築きました。

都市伝説とシュタイナー

近年の都市伝説ブームは、経済不安やパンデミックなどの具体的要因より、近代的価値観に対する漠然とした違和感に根ざしています。不確実な時代に共通の話題で繋がりたい心理と、SNSなどのメディアが結びついて雪だるま式に拡大しました。都市伝説には時代批判的動機も含まれますが、エンターテイメントとして機能し根本的不安は解消されません。この界隈でシュタイナーの名前も登場するようになり、興味深い現象となっています。消費対象としてブーム化すると誤解される危険性がある一方、批判的思考で接すれば学びにもなり得ます。重要なのは一定の距離を保つことです。

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