水の動き〜泉と滝

泉の観察をした同じ日、足を伸ばして近くの滝も観察しました.

続けて見たためか、いろいろと対照的な水の様相が目に止まりました.

– 湧水では水は下から上へ湧き出ているのに対し
– 滝は、当然ですが、上から下へ流れ落ちている.

– 湧水はひとつの泉を形づくりあくまで透明.
– 滝は複数の流れとなって色としては白く見える.

– 泉が周囲を映し出す像はひとつだけれど
– 滝は水滴や泡として、無数の景色を(おそらく)映しこんでいる.

– 泉はもっぱら土との関わり
– 滝は岩や空気と関わっている

– 泉は周囲の光景と相まって色彩を感じるが
– 滝は黒い岩場に白い流れで、モノクロ感が強い.

– 泉には一見したところ動きは感じられないが、
– 滝は動きそのもの.岩場を下るリズムも感じられる.

などなど.

観察した場所が「調音の滝」という名前だったので
参加した方々は音に注目した人も多かったです.

 
何が正解、ということはなく、
さしあたりは “気づき” に注目します.

この練習することで、外の世界の物事が
自身の内面で何を喚び起こしているのか、
意識しやすくなります.

“光に似た何か” のおおもと

野外観察会で “泉” を訪れました.
まだ印象が鮮やかなうちにメモに残しておきたいと思います.

訪れたのは耳納(みのう)連山の麓にある古寺.

名前を清水寺といい、その敷地の一角に、
清水湧水(きよみずゆうすい)があります.

この地域では古くからよく知られていて、
環境庁の名水100選にも選定されています.
私たちが訪れた時も、年配の男性が「コーヒーを淹れるのに使うんだよ」と
ポリタンクに水を汲み、何度も車との間を往復していました.

 
泉のほとりに立つとそこは木立に囲まれた静かな世界で
光に似た何かがうっすらと満ちているような気がしました(*個人の印象です).

水はあくまで透明で、底まではっきり見通せます.
透明すぎて上の写真ではわかりにくいのですが、
下の方の灰色ぽいエリアは泉なんです.

目に見えて水が湧き出ている様子はなく、水面はとても穏やか.
時折、アメンボが作る波紋がゆるやかに広まり、
水面の静けさをいっそう際立たせています.

ですがその澄んだ静けさは、やはり湧き出る水がもたらすもの.
ただの池であれば、水は藻類などの微生物などで
すぐに濁ってしまうことでしょう.

水が湧き、どこかへ流れ出る.
泉ならではの水の動きがあるからこそ実現している美しさなのです.

 
実際、泉の水はお寺の外の水路に導かれ、
周囲の水田に引き込まれていました.
吐水口からは力強く水が流れ出しています.
それもそのはずこの湧水、実に一日に700トンもの水が湧いているのだそうです.

1トンは水で言ったら1000リットルですから、ものすごい量です.
「汲めども尽きぬ」という表現がありますが、まさにそんな感じですね.

 
この無限にも思える大量の水はどこからもたらされているのか?
そう考えると、背後にそびえる耳納(みのう)連山に気付かされます.
清水湧水の両翼に長々と展開するあの壁のような山並みこそ、
この泉の力の源泉なのでしょう.

山々に降った水が地中に染み込み、長い時間をかけて伏流となり、
一方では濾過され、もう一方では地中のミネラルを溶かしこみながら
この泉の底からあらわれて、再び日の光を浴びる.
私たちの知らないところで粛々と営まれているこの水の動きを思うと、
目の前の泉の静けさのなかに、みなぎる力を感じざるを得ません.

私が最初に感じた “光に似た何か” の正体は、
もしかするとこんなこととも関係していたのかも知れないな
などと思いました.

このあと、滝の観察をしたのですが、
それはまた別の機会に.
水の動き〜泉と滝

 
清水湧水の場所はこちらです.
駐車場もあり、行きやすいと思います.
私たちが訪れた時は農作物の無人販売所もありました.

9月16日はうきはで自然観察会を行います

2020年9月16日は自然観察会を予定しています.

うきはの清水寺さんをお尋ねし、泉の謎に迫ります.
時間に余裕があれば筑後川の文化や地政にもふれたいとのこと.
ぜひご参加ください.

参加なさる方は、10時30分までに道の駅うきはの駐車場に集合してください.

昼食はどこかお店に入ることになると思います.
道の駅、お蕎麦屋さん、うなぎなどが候補に挙がってます.

いつもより少し遠いので、時間に余裕をもって安全運転でお越しください.
それと(最近のお約束ですが)発熱等の症状のある方は参加をお控えください.
雨天時など予定に変更がある場合はまたご案内します.

2020後期日程

2020年後期の定期講座日程です.

一回一回、相互に関係はありますが、
独立した内容としてお聞きいただけます.

新規のご参加も可能です.
お問い合わせください.

9月2日 光と影と思考とのかかわり
9月16日 自然観察:泉を訪ねて
10月7日 ビルトハフト(像のように世界を感じる)再考
10月21日 ヴィンターさんの絵画について
11月4日 『私たちの中に世界はあるのか?』
11月18日 自然観察:カルスト台地と暗闇体験
12月2日 文字を学ぶ過程で大切なこと
12月16日 山岳信仰と役行者

アルベルト・シュミドリー氏のウェブ講座

教室のメンバーから、アントロポゾフィー関連の貴重な催しのお知らせが入りました。
当らせん教室の常任講師・井手芳弘氏の紹介文を添えて、ここでもお知らせいたします。


教室のメンバーのKさんから、ヴェレダ社の医薬品開発責任者だったアルベルト・シュミドリー氏のウェブ講座のご案内をいただきました。

テーマは<惑星と金属-ミクロコスモスとしての人間の器官+地球、そして金属のイメージで書かれたメルヘン>だそうです。

シュミドリー氏はアントロポゾフィー医師のためのセミナーやヴェレダのセミナーなどで、何度も日本で講義をされている方で、深い観察と、自然科学に対する理解、それに錬金術に関する理解などを通して、自然科学と現象学をつなぎ、独自の世界に対する見方を開かれていった方です。その力を使いたくさんのシュタイナー医薬も開発されてこられた方です。
要するに、とても素晴らしい方です。

まったく新しい自然科学的な知識に裏打ちされた視点から、金属や惑星について語られて行かれるものと思います。とても貴重な機会なので、ご参加をお勧めします。(井手芳弘)

9月25日が締め切りで、プラットフォームはZoomになります。
Zoom初心者対象のリハーサルもある模様です。
詳しくは次のリンクから、pdfでご確認ください。

→ アルベルト・シュミドリー氏ウェビナーのご案内

デモンストレーション動画

波のなかの光の線は何だろう?

11月6日は二丈の姉子浜で観察会。

鳴き砂で知られる美しい砂浜です。

上の写真のとおり、好天に恵まれました。

いろいろな発見があったのですが、
波を見ていて気づいた点をひとつ
メモします。

美しいという以外は特に変わったことのない
見慣れた波の写真です。

最初のうちは気づかなかったのですが、
見ているうちに、波の立ち上がる場所に
横線がが見えるようになりました。

見えるでしょうか?

この光の線、目には最初から映っていたはず。

でも、はじめのうちは気にならなかった。
気づかなかった=見えていなかった、と
ここでは表現しています。

気づいてみると、なかなかきれいな線です。
横一直線にスっとしてて、
輝いてます。

これはいったい、何なのでしょうか?

拡大すると、こんな感じに見えることも。

この線が何であるのか?

その答えもたいせつですが、

そういう問いが浮かんでくることと、
そういう問いが浮かんでくる心の状態

を、らせん教室ではたいせつにしています。

心のモードチェンジをすると、
それまで見えていなかったものが見えてきます。

この砂浜では他にも、

– 波が崩れる時にあらわれるヒスイの色
– 白波が立つ時に海面が白くなる
– 波が砕ける音を分解して聴く

などなど、いろいろな気づきがありました。

– いったい何をしているのか?
– だから何なの?

そんな風に思われる方もいらっしゃるかも?

ですよね、わかります。

もちろん、このお話には続きがあります。
ただ、答えを探し出すことが目的、

というわけでもなく、

とりあえず
この輝く波の線の不思議な魅力をお伝えしたくて
書いてみました。

もし海に行くことがあれば、
見つけてみてください。

あと、
わざわざ海まで行かなくても、
いつもは見えていなかったものが、
身のまわりにも
あるかも知れません。

見慣れた風景のなかに
隠れている不思議

あたりまえのなかに
埋もれている驚き

そういうこと、探しています。

次回は11月6日(水)姉子浜で観察会

次回の定期講座は11月6日(水)で、観察会をおこないます。

場所は鳴き砂の浜で知られる姉子の浜

余談ですが、わたしが九州に来て最初に出会った美しい海がこの場所でした。
白い砂が透明な海水に透け、遠浅の穏やかな海が広がっています。*天気による(笑)

場所は二丈鹿家です。
国道202号線沿いにパーキングエリアのような駐車施設があります。
10時半に現地集合してください。

新規のご参加も歓迎です。
参加方法をご確認のうえ、事務局までご連絡ください。twitterでお声がけいただいても大丈夫ですよ。
http://i-spiral.net/join/