Jochen Bockemühl(ヨッヘン・ボッケミュール)氏の研究リソース

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ゲーテアヌム自然科学部門を26年間率いた植物学者ヨッヘン・ボッケミュール氏についての研究リソースです。1928年生まれの彼は「植物との対話」に生涯を捧げ、ゲーテ科学的植物形態学を確立しました。代表作『In Partnership with Nature』をはじめ、「形態運動」や「時間体」概念を通じた現象学的植物観察法を開発。バイオダイナミック農法の理論的基盤を提供し、景観研究でも重要な貢献をしました。参与的観察により植物の生命過程を質的に理解する方法論は、持続可能農業や生態系保護の新しいアプローチとして現代でも高く評価されています。

ゲーテアヌムの自然科学部門について

ゲーテアヌム自然科学部門の100年にわたる歴史を追った研究です。1924年の設立以来、わずか6名の責任者が交代し、驚くべき制度的継続性を保持してきました。創設者ヴァハスムートの39年間から始まり、ボッケミュールの現象学的研究発展、キュールの国際的橋渡し期を経て、2020年に初の共同責任者制に移行しました。現在は物理学者ラングと薬剤師フォルシュトネリッチ・レシャクが指導し、量子力学から薬用植物研究まで幅広い分野を統合しています。各時代の長期在任により深い研究発展が可能となり、人智学的科学の一貫した発展を示しています。

『風景への目覚め』II章 人間意識の進化を反映する風景(内容紹介)

『風景への目覚め』第2章紹介

ヨヘン・ボッケミュール氏の『風景への目覚め』第二章は、人類の意識進化と風景の変遷を対応させた壮大な論考です。古代の自然との一体性から中世の内外分離、近世の世界発見、近代の技術信仰、そして現代の完全な疎外まで、各時代の風景が人間意識の状態を映し出していることを示しています。特にリルケのヴァレーでの体験は、分離を経験した現代人だからこそ可能な「参与的認識」の例として重要です。古代ローマの「Genius Loci(場所の個性)」概念の現代的復活も提唱され、技術的解決を超えた意識変革による自然との新しい関係構築の可能性を探っています。

学びの原像 〜ヨヘン・ボッケミュール氏の思い出

ゲーテ的自然学を現代に体現する植物学者ヨヘン・ボッケミュール氏との出会いは、らせん教室に深い印象を残しました。氏の穏やかな物腰や口調には、長年の植物観察と認識の深さに照応した洗練と成熟が表れていました。特に自然を認識する際の愛情深い姿勢が印象的で、学びとは知識を超えた人格的成熟への道であることを示してくれました。その美しさに似た完成度は、学問的探求が人間性の深化と不可分であることを物語っています。