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水田は鏡のように風景を映してくれます



30 生者の影

散歩をすると美しいものにいろいろと出会うことができますが、そうではないものにもたくさん出会います.

街の中では至る所に犬の落とし物が置いてありますが、こんなのはまだ可愛いもので、郊外に歩を進めるとかなり悲惨なものにもお目にかかります.
特にこの時期は田に水が入ってカエルが大発生.
水が入るのが遅かった今年は幸いにもまだ出会っていませんが、陸に上がったばかりのカエルたちがそっくり平らになって轍の跡をつくっていたりします.


悲惨な状況にはまだ続きがあって、こうした有機体はやがて夏の陽射しの下でからからになってしまいます.その上さらに車に踏みつけられて、ただの黒っぽいタール状の固まりになってしまうものもあるようです.
駅の構内などで、ガムが捨ててあると、やがて黒い固まりになってはりついているのを見かけますよね.あんな感じになるのです.

それを見て僕の脳裏に恐ろしい考えが浮かびました.
いままで気にもとめていなかったけれど、アスファルトの上に点々としている黒いシミは、もしかするとそういう有機物のなれの果てかも知れない…….
間違って夜のうちに這い出してしまったミミズや、湿度が高くて路上に出てきてしまったナメクジなど、車に踏まれてしまう生き物がけっこうたくさんいるのです.

そう思うと路面に点々としているシミがかつて生きていたものの影のように思えて、踏んではいけないもののように思えてきました.

……考えすぎですよね.

でも僕の散歩コースには、どうしても踏む事のできないシミがひとつあるのです.

2007/07/09 15:45:26