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やまなみ



19 大気の色

らせん教室の講座では、上の写真のような場面が、たとえによく出て来ます.普段は気にもとめないようなありふれた景色なのですが、うまくいくと少し視覚が変化した感じも得られるので、簡単にその内容をご紹介してみます.


遠くにある山がより青白く、薄くなっていくことは自然なことで、普段は特に気にとめることもありません.
絵画でもよく使われる技法で、空気遠近法、と言われていますね.空気が遠くのものを霞んで見せるので、わざと薄く描くことで、逆に遠さを表現します.

教室ではもう一歩踏み込んだ見方が紹介されます.
画面、下のほうに少し見えている小山の緑色と、その奥に見えている山の緑とは、同じ緑色だとイメージするのです.
まあ、実際の色合いは少しは違っているとも思うのですが、同じ季節の山ですから、だいたいは似通った緑色をしていると思ってもよいでしょう.

遠くの山に鮮やかな緑色をイメージすることができると、実際に目に見えている薄く青みがかった色合いが、妙に浮いているような感じがしてきます.その薄いもやのような白さが、そこに存在している大気の色であるわけです.

一度この経験をすると大気の存在をとらえやすくなり、風景を立体的に感じることができます.逆にくせのようになって、以前のように平板に見ることが難しくなる場合もあります.

だからどうだということもないのですけれど、同じ風景を見ていても、もう一歩鮮やかに見ることができたように感じられるので、それなりに楽しい経験です.

そしてこのことはゲーテの色彩論だけでなく、教室のほかの話題においてもつながっていく、基本的な経験のひとつとなっています.

2007/06/12 17:09:41